心理的安全性とは?チームの成長に必要不可欠な環境づくり
「このアイデアを提案したら、どう思われるだろう…」
「この質問をしたら、無能だと思われないかな…」
こんな不安を感じたことはありませんか?実は、このような不安がチームの成長を妨げている可能性があります。そこで注目されているのが「心理的安全性」という考え方です。
昨今、この「心理的安全性」という言葉をよく耳にするようになってきました。企業によっては、この心理的安全性の醸成を中期目標に掲げている例も多く見受けられます。
このコラムでは、そんな心理的安全性というものについてお伝えしていきます。
心理的安全性の基本を理解しよう
心理的安全性とは何か
心理的安全性(Psychological Safety)とは、「組織やチーム内で自分の意見や考えや感情、失敗や懸念を安心して自由に表現できると感じる状態」のことです。この状態が確保されることで、チームのパフォーマンスや創造性が向上するとされています。ハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱したこの概念は、今や多くの企業が注目する重要なテーマとなっています。
具体的には、以下のような状態を指します
- 質問や意見を言っても否定されない
- 失敗しても非難されない
- お互いを尊重し合える関係性がある
- 新しいアイデアを提案しやすい
さらに例を見てみましょう。
質問や意見を言っても否定されない、自分を素直に表現できる環境
質問や意見やアイデアに対して批判や否定をされることを発言できる状態や環境があるという事は
- 共通目的達成のために「こんなアイデアはどうでしょう?」と発言しても否定されない。
- 失敗やミスを隠す必要がない環境。
- メンバーが他の意見を尊重し、建設的に議論ができる。
失敗しても非難されない、チームメンバー同士が互いを尊重し、信頼することで安心感が得られる状態
メンバーの多様な背景や意見、性格などもお互いに尊重され、差別や偏見がない。
- 意見の違いが議論を深める要素として扱われる。
- 異なる視点を歓迎し、活用する姿勢がある。
- 「大丈夫、みんなでサポートするよ」といった安心感がある。
新しい挑戦やアイデア・改善を恐れず、積極的に取り組める状態
今までにはない事を提案してもしっかりと聞いてもらえる環境。
- メンバーが「これはうまくいかないかもしれないけれど試してみたい」と提案できる。
- 「挑戦したこと自体が素晴らしい」と評価される文化。
- 誰かの失敗が責められるのではなく、学びの機会として共有される。
なぜ今、心理的安全性が注目されているのか
近年、心理的安全性が注目される背景には、ビジネス環境の大きな変化があります。
- 複雑化する問題解決には、多様な視点が必要
- イノベーションには、自由な発想と意見交換が不可欠
- リモートワークの普及で、より意識的なチームづくりが重要に
特に日本では、従業員エンゲージメントの低さが課題となっており、その解決策として心理的安全性の確保が重要視されています。
Googleの研究結果が示す重要性
Googleが行った「プロジェクト・アリストテレス」という大規模な研究では、優れたチームの最も重要な特徴として「心理的安全性」が挙げられました。この研究では、以下のような発見がありました。
- 心理的安全性の高いチームほど、イノベーションが生まれやすい
- メンバーの離職率が低く、生産性が高い
- 問題解決のスピードが速い
よくある誤解:心理的安全性は「ぬるま湯」ではない
「心理的安全性=なんでも許される」という誤解がよくありますが、これは大きな間違いです。心理的安全性の高い職場では、むしろ以下のような特徴があります
- 建設的な意見交換が活発に行われる
- お互いの意見を尊重しながら、率直なフィードバックができる
- 目標達成に向けて、全員が当事者意識を持って取り組む
つまり、心理的安全性とは「優しい職場」ではなく、「強い職場」を作るための土台となるものなのです。
心理的安全性がもたらすメリット。なぜ心理的安全性が重要なのか?
心理的安全性の高い職場では、個人とチーム双方に大きなメリットがもたらされます。具体的にどのような効果があるのか、それぞれの視点から見ていきましょう。
個人へのメリット
パフォーマンスの向上
「この程度の質問をしたら…」という遠慮や躊躇がなくなることで、必要な情報をタイムリーに得られるようになります。その結果
- 仕事の質が向上する
- 効率的に業務を進められる
- 新しいスキルの習得が加速する
メンバーが自由に意見やアイデアを発言できるようになり、多様な視点やアイデアが集まることで、創造的な解決策が生まれチームの意思決定の質が向上します。
自己成長の促進
失敗を恐れず、新しいことにチャレンジできる環境では
- 自分の可能性を最大限に引き出せる
- 新しい役割や責任に積極的に挑戦できる
- 失敗から学ぶ機会が増える
チャレンジするからこそできる失敗から、学びや改善が促進されます。
自分の強みや能力を十分に活かせるため、チーム内での役割分担や協力がスムーズになる。
ストレス軽減効果
「自分の意見や考えを受け入れてもらえる」という安心感があることで
- 心理的な負担が減少する
- 本来の力を発揮しやすくなる
- 仕事への意欲が高まる
メンバーが自信を持って行動できるため、モチベーションが高まり自分の強みや能力を十分に活かせます。
チーム・組織へのメリット
イノベーションの創出
多様な意見が飛び交う環境では
- 新しいアイデアが生まれやすい
- 異なる視点からの気づきが増える
- 創造的な問題解決が可能になる
例えば、若手社員からベテラン社員まで、立場に関係なく自由に意見を出し合えることで、従来には無かった革新的なアイデアが生まれやすくなります。
生産性の向上
チーム全体のコミュニケーションが活性化することで
- 情報共有がスムーズになる
- 問題解決のスピードが上がる
- チームワークが強化される
チーム全体で目標達成に向けた連携が強化され、効果的なコミュニケーションが生まれる。
同じミスの再発を防ぎ、チーム全体の成長につながります。
離職率の低下
働きやすい環境が整うことで
- 従業員の定着率が向上する
- 優秀な人材の流出を防げる
- 採用コストの削減につながる
メンバーのメンタルヘルスが向上し、離職率が低下するだけではなく、持続的なパフォーマンスを発揮しやすくなる。
問題の早期発見・解決
誰もが気づいたことを言える環境では
- 小さな問題のうちに対処できる
- リスクの芽を早期に摘める
- 予防的な対策が可能になる
たとえば、「これって、もしかしたら問題になるかも…」という直感的な気づきも、すぐに共有できるようになります。
このように、心理的安全性を高めることは、個人の成長とチームの発展の両方に大きく貢献します。ただし、これらのメリットを得るためには、適切な環境づくりが不可欠です。
次のセクションでは、心理的安全性が低い職場ではどのような問題が起きるのか、具体的に見ていきましょう。
心理的安全性が低い職場の特徴と課題
心理的安全性が低い職場では、メンバーは常に様々な不安を抱えています。その結果、本来発揮できるはずの能力が十分に発揮できない状態に陥りがちです。ここでは、具体的にどのような問題が起きているのか、詳しく見ていきましょう。
4つの不安とその影響
「無知だと思われる」不安
「基本的なことを知らないと思われたくない」という気持ちから
- 分からないことを質問できない
- 必要な情報が得られない
- 些細な確認も躊躇してしまう
例えば、新しいプロジェクトに参加した際、基本的な用語の意味が分からなくても、質問できずに誤った理解のまま進めてしまうようなケースです。
「無能だと思われる」不安
「失敗したら評価が下がる」という恐れから
- チャレンジを避けるようになる
- ミスを隠そうとする
- 責任転嫁が起きやすくなる
「この程度のことができないなんて…」と思われることを恐れ、自分の能力以下の仕事しか引き受けなくなってしまいます。
「邪魔をしている」不安
「話を中断させてはいけない」という遠慮から
- 重要な指摘のタイミングを逃す
- 会議での発言を控える
- 必要な情報共有ができない
たとえば会議中、明らかな問題点に気づいても、「今さら指摘するのは…」と発言を躊躇してしまうような状況です。
「ネガティブだと思われる」不安
「物申す人」というレッテルを貼られることへの懸念から
- 問題点の指摘を避ける
- 建設的な提案を控える
- 現状維持を優先する
「前向きな意見しか認められない」という雰囲気があると、必要な警鐘も鳴らせなくなってしまいます。
組織にもたらす悪影響
これらの不安は、個人の問題に留まらず、組織全体に深刻な影響を及ぼします
イノベーションの停滞
- 新しいアイデアが生まれない
- 従来のやり方を変えられない
- 市場の変化に対応できない
コミュニケーションの低下
- 必要な情報が共有されない
- 部門間の連携が弱まる
- 同じミスが繰り返される
モチベーションの低下
- 仕事への意欲が減退する
- 当事者意識が薄れる
- 優秀な人材が離職する
しかし、これらの問題は決して解決できない訳ではありません。適切な取り組みによって、徐々に改善することが可能です。
次のセクションでは、具体的にどのように心理的安全性を高めていけばよいのか、実践的な方法を見ていきましょう。
心理的安全性を高める具体的な方法
心理的安全性の向上は、一朝一夕には実現できません。しかし、小さな一歩から始めることで、確実に変化を生み出すことができます。
大きく分けると、心理的安全性を向上させるためには、
- 個人レベルでコントロールできること
- チームレベルでコントロールできること
- 組織レベルでコントロールできること
の3つのステップを踏む必要があるとおもいます。
ここでは、それぞれの立場でできることを具体的に見ていきましょう。
経営層・管理職ができること
評価制度の見直し
単なる結果だけでなく、プロセスも重視する評価に
- チャレンジを評価する項目を設ける
- 失敗から学んだことを共有する機会を作る
- チーム貢献度も評価の対象にする
1on1ミーティングの実施
定期的な対話の場を設けることで
- 率直な意見交換ができる関係性を築く
- 早期の課題発見につなげる
- キャリアの悩みも相談しやすくなる
実施のポイント
- 最低でも月1回は実施する
- 評価の場ではなく、対話の場として位置づける
- 雑談も含めた自由な会話を心がける
失敗を学びに変える文化づくり
「失敗は成長の機会」という認識を広めるために
- 自身の失敗体験を積極的に共有する
- 失敗から得られた教訓を評価する
- チーム全体で学びを共有する場を設ける
チームメンバーができること
建設的なフィードバック
相手の成長を支援する姿勢で
- 具体的な事実に基づいて伝える
- 改善点だけでなく、良い点も伝える
- 「どうすればより良くなるか」の提案も含める
例「このプレゼン資料、データの使い方が分かりやすくて良かったです。さらに説得力を増すために、具体的な事例も加えてみてはどうでしょうか?」
このような問い方にするだけで伝わり方も感じ方も大きく変わってきます。
積極的な情報共有
必要な情報を適切なタイミングで
- – 自分だけが知っている情報は積極的に共有
- 気づいたことはすぐに伝える
- 定期的な進捗報告を習慣化
相互理解と信頼関係の構築
日々のコミュニケーションを大切に
- 相手の話を最後まで聴く
- 質問を通じて理解を深める
- 感謝の気持ちを言葉で表現する
実践のポイント
- まずは挨拶や雑談から始める
- 相手の表情や様子にも気を配る
- 小さな成功も共に喜ぶ
明日から始められる具体的なアクション
以下のような小さな取り組みから始めてみましょう
会議での発言
- 「○○さんはどう思いますか?」と積極的に意見を求める
- 発言の少ないメンバーにも発言の機会を作る
- 「いい質問ですね」と質問を歓迎する態度を示す
日常のコミュニケーション
- 「ありがとう」「助かります」を意識して伝える
- 「なるほど、そういう考え方があるんですね」と相手の意見を受け止める
- 「私にも似たような経験があります」と共感を示す
チーム活動
- 定期的な振り返りの機会を設ける
- 成功体験を共有する場を作る
- チーム目標の達成状況を全員で確認する
これらの取り組みは、すぐに大きな変化をもたらすものではありません。しかし、地道な積み重ねが、確実にチームの心理的安全性を高めていきます。
次のセクションでは、より具体的な実践ステップについて見ていきましょう。
心理的安全性の実践ステップ
心理的安全性の向上は、現状把握から始めて段階的に進めていくことが重要です。ここでは、具体的な実践ステップを見ていきましょう。
現状把握:7つのチェック項目
まずは、現在のチームの状態を客観的に確認することから始めます。以下の項目について、チームメンバーに5段階で評価してもらいましょう。
- 「チーム内で意見を言うことに不安を感じる」
- 「失敗したときに責められると感じる」
- 「自分と違う意見を受け入れてもらえる」
- 「困ったときに助けを求めやすい」
- 「新しいアイデアを提案しやすい」
- 「メンバー同士で率直に意見を言い合える」
- 「自分の能力や個性が活かされている」
※これらの質問に対する回答を定期的に収集し、変化を追跡することで改善の進捗が分かります。
短期的な改善アクション
現状把握ができたら、まずは以下のような短期的なアクションから始めましょう
会議でのルール作り
- 全員が最低1回は発言する
- 「間違いかもしれませんが…」という前置きを禁止する
- 批判する時は必ず代案を提示する
コミュニケーションの改善
- 朝のチェックイン(今日の気分や予定の共有)
- 「ナイス・キャッチ!」報告(良い気づきの共有)
- 「困りごと相談タイム」の設定
情報共有の仕組み作り
- 週次の振り返りミーティング
- チーム内SNSでの気軽な投稿促進
- ナレッジ共有の仕組み構築
中長期的な組織作り
短期的なアクションと並行して、以下のような中長期的な取り組みも進めます
評価制度の見直し
- チャレンジを評価する仕組みの導入
- 多面評価の実施
- チーム貢献度の可視化
人材育成プログラムの整備
- リーダーシップ研修の実施
- コミュニケーションスキル研修の提供
- メンター制度の導入
組織文化の醸成
- 成功・失敗事例の共有会の定期開催
- クロスファンクショナルな勉強会の実施
- 表彰制度の見直し
継続的なモニタリング方法
改善活動を継続的に行うために、以下のような指標を定期的にチェックします
定量的な指標
- チーム内の発言数や質問数
- 改善提案の件数
- 1on1の実施率
- プロジェクトの成功率
- 従業員満足度調査の結果
定性的な指標
- メンバーからのフィードバック
- 会議での発言の質
- チーム内の雰囲気
- コミュニケーションの活発さ
これらの指標を定期的にモニタリングし、必要に応じて施策を見直していきます。
改善サイクルの確立
PDCAサイクルを回しながら、継続的な改善を進めていきましょう
1. Plan(計画)
- 現状分析
- 目標設定
- アクションプランの作成
2. Do(実行)
- 具体的な施策の実施
- メンバーへの周知と協力依頼
- 進捗管理
3. Check(評価)
- 定期的な状況確認
- フィードバックの収集
- 効果測定
4. Act(改善)
- 成功事例の展開
- 課題への対応
- 新たな施策の検討
次のセクションでは、これらの取り組みを定着させるためのポイントについて見ていきましょう。
心理的安全性を定着させるために
一時的な取り組みではなく、持続的な効果を生むために必要な要素を見ていきましょう。
リーダーシップの重要性
リーダー自身の意識と行動
リーダーの言動は、チームの雰囲気づくりに大きな影響を与えます
- 自分の失敗も率直に認める
- 分からないことは素直に質問する
- メンバーの意見に真摯に耳を傾ける
実践のポイント!
「私の考えが間違っているかもしれません」
「その点は私も気づきませんでした」
「なるほど、その視点は面白いですね」
このような言葉を日常的に使うことで、チームの心理的安全性は着実に高まっていきます。
会議やミーティングでの工夫
- 発言の少ないメンバーにも必ず発言の機会を作る
- 批判的な意見も受け入れる姿勢を示す
- 建設的な議論を促進する
コミュニケーションの基本
日常的な対話の質を高める
効果的なコミュニケーションのために
- 相手の話を最後まで聴く
- 質問を通じて理解を深める
- 非言語コミュニケーションにも注意を払う
フィードバックの与え方
建設的なフィードバックの基本
1. 具体的な事実に基づいて伝える
2. 相手の良い点を認める
3. 改善点は提案として伝える
4. 今後の期待を示す
例「先日のプレゼン、データの分析が綿密で説得力がありましたね。さらに良くするために、具体的な事例も加えてみてはどうでしょうか?次回も楽しみにしています」
チーム作りのポイント
「当たり前」を見直す
既存の習慣や慣習を定期的に見直す
- 必要のない会議はないか
- 形骸化した報告はないか
- 効率化できるプロセスはないか
心理的安全性を育む仕組み作り
1. 定期的な振り返りの機会
- 良かった点の共有
- 改善点の建設的な議論
- 次のアクションの検討
2. 情報共有の促進
- 気軽に質問できる場の設定
- ナレッジ共有の仕組み
- 成功・失敗事例の共有
3. チーム活動の活性化
- クロスファンクショナルな活動
- 勉強会やワークショップの開催
- インフォーマルな交流機会の創出
継続的な改善のサイクル
日々の小さな改善
- 気づいたことはすぐに共有する
- 良い変化は褒め合う
- 課題は早めに対処する
定期的な振り返りと改善
月次や四半期での振り返り
1. 変化の確認
- チームの雰囲気は良くなっているか
- コミュニケーションは活発か
- 新しい取り組みは増えているか
2. 効果の測定
- 定量的な指標の確認
- メンバーからのフィードバック
- 外部からの評価
3. 次のアクション
- 成功施策の強化
- 新たな課題への対応
- 長期的な目標の確認
心理的安全性の定着には時間がかかりますが、これらの取り組みを地道に続けることで、確実に組織は変化していきます。
次のセクションでは、全体のまとめと、明日から始められるアクションについて見ていきましょう。
まとめ:心理的安全性の実現に向けて
心理的安全性を向上させるためには、
- 個人レベルでコントロールできること
- チームレベルでコントロールできること
- 組織レベルでコントロールできること
の3つのステップを踏む必要があります。
そして、その前に徹底すべきことは、「心理的安全性に関する正しい理解を促す」ということです。
経営者の方々とお話をしていると、時々「心理的安全性とか甘いことを言っていて、果たしてよいのか?と思う時があります」というようなことを言われる方がいます。
これは、心理的安全性についての正しい理解をしていない状態です。
心理的安全性とは、規律が甘かったり、好き放題ものを言う世界とは全く違います。そのむしろ逆で、心理的安全性には、目的達成のための高い行動スタンダードが要求され、発言や提案にも「自分の言葉に責任を持つ」ことが要求される世界です。
まずは、研修や有識者による講演などを通して、全社員が心理的安全性を正しく理解することから始めることが肝心です。
そして、その次は、個人レベルでコントロールできること。
部署の上長であったり、そのメンバーが、目的意識を持ち、目的の達成のためにオープンな環境を作るコミュニケーションの習慣を徹底することです。
特に重要なことは、上司と部下の1on1が、心理的安全性のある場であること。この基本が徹底されていることで、コミュニケーションは活性化されていきます。
部署単位、チーム単位で各々が「個人レベルでコントロールできること」を徹底していくと、チームレベルでコントロールできることをしっかりと実践していく段階になります。
会議の場で、例えば、新入社員でも、中途採用社員でも、チームの目的に対し、真剣に考えてきたことを口にすることを歓迎する雰囲気を、お互いに作っていくことで、会議は熟議の場となり、活性化されていきます。
また、「批判をするなら、代案を用意すること」など、会議やコミュニケーションのルールを作り、全員でそのルールを守っていくことも大事なことです。
組織内の多くのチームに心理的安全性が根付いてきたら、組織単位で心理的安全性に関する目標値を作ったり、心理的安全性を高める行動を表彰するシステムを作ったりして、心理的安全性を組織文化にしていくステップとなります。
ここでは特に組織上層部が、心理的安全性醸成の促進に貢献するような言動や行動を徹底する必要があります。
ポジションパワーを持つ者がこのような動きができることは、非常に価値があり、そのようなことができるリーダー育成を中長期的に展開することが肝心です。
重要ポイントの整理
心理的安全性とは
- チーム内で安心して意見を言える状態
- イノベーションと成長の土台となる環境
- 「ぬるま湯」ではなく、建設的な議論ができる状態
なぜ必要か
- 複雑化する問題解決には多様な視点が必要
- イノベーションの創出には自由な発想が不可欠
- 早期の問題発見と解決につながる
- 個人とチームの成長を促進する
実現のためのキーポイント
1. リーダーからの率先垂範
- 失敗を認める勇気
- 謙虚な姿勢
- 建設的なフィードバック
2. メンバー全員の意識と行動
- 相互理解と尊重
- 積極的な情報共有
- 建設的な対話
3. 組織としての仕組みづくり
- 評価制度の適正化
- 定期的な振り返り
- 継続的な改善活動
明日から始められるアクション
リーダーの方へ
今日から始められること
- チーム内で自分の失敗談を共有する
- メンバーの発言に「なるほど」と反応する
- 1on1の機会を作る
1週間以内に始めれること
- チーム会議のルールを見直す
- 心理的安全性についてチームで話し合う
- フィードバックの機会を増やす
メンバーの方へ
今日から始められること
- 気づいたことを1つでも共有する
- 同僚の良い取り組みを褒める
- 分からないことは素直に質問する
1週間以内に始めれること
- チーム内で自分の意見を1つ提案する
- 同僚との対話の機会を作る
- 改善アイデアを考えてみる
長期的な視点での取り組み方
継続的な改善のために
- 小さな成功体験を積み重ねる
- 定期的に現状を確認する
- 良い変化を認め合い、共有する
成功のための3つの約束
1. 完璧を求めすぎない
- 小さな一歩から始める
- 失敗も学びの機会として捉える
- 進化し続ける姿勢を大切に
2. 全員で取り組む
- 誰かに任せきりにしない
- お互いをサポートし合う
- 成功を共に喜び合う
3. 諦めない
- 変化には時間がかかることを理解する
- 小さな進歩も認める
- 長期的な視点を持つ
おわりに
心理的安全性の実現は、決して容易なことではありません。しかし、この記事で紹介した方法を一つずつ実践していくことで、必ず変化は生まれます。
大切なのは、完璧を求めすぎないこと。まずは自分にできる小さなことから始めてみましょう。たとえそれが「おはよう」と笑顔で挨拶することだけでも構いません。
その小さな一歩の先に、きっと活気に満ちた、創造的で魅力的な職場が待っているはずです。
さぁ、明日からあなたも、心理的安全性を高める取り組みを始めてみませんか?
関連プログラムについて