ファシリテーション

ファシリテーション(Facilitation)とは、会議やワークショップ、プロジェクトなどの場において、参加者の対話や意思決定を円滑に進め、合意形成や創造的なアウトプットを引き出す技術および支援行為を指します。

ファシリテーターと呼ばれる人が中立的な立場から場の進行をサポートし、参加者の発言を引き出したり、意見の整理や合意形成を促したりすることで、チームや組織の持つ知恵・多様性を最大限に活かすことができます。

ファシリテーションは、単なる会議の進行役にとどまらず、「組織開発」や「心理的安全性」「主体性のあるチームづくり」といった人材育成や組織変革の文脈でも重要視されています。

実務上の重要性や活用場面

ビジネスの現場において、ファシリテーションスキルは管理職・リーダー・プロジェクトマネージャーにとって不可欠なスキルです。

従来のトップダウン型の指示命令では解決できない複雑な課題が増える中で、現場のメンバーの知恵や多様な意見を引き出し、合意と行動につなげる「共創型のマネジメント」が求められています。

ファシリテーションは以下のような場面で活用されます:

会議の生産性を高めたいとき(時間内に結論を出す、議論の偏りを防ぐ)

多様な価値観を持つメンバーとの合意形成を図りたいとき

チームビルディングや組織活性化を行いたいとき

新規事業やイノベーションのアイデアを創出したいとき

ワークショップや研修の場で、参加者の主体性を引き出したいとき

特に、オンライン会議の普及に伴い、**「オンラインファシリテーション」**のニーズも急増しています。場の空気感や参加度が掴みにくい状況でも、目的を明確にし、双方向の対話を促すファシリテーション力が生産性の鍵を握ります。

研修や組織開発の中での位置づけや具体例

ファシリテーションは、企業研修においてはマネジメント研修やリーダーシップ研修、プロジェクトマネジメント研修、組織開発プログラムの中核を担うテーマとして扱われます。

また、社内ファシリテーターの育成を目的とした「ファシリテーション研修」も多くの企業で導入されています。

研修では以下のような内容が扱われます:

会議の目的設計とアジェンダ設計のスキル

話しやすい場づくり(心理的安全性の確保)

発言を引き出す問いの立て方

意見の整理や見える化(ホワイトボード、オンラインツール活用)

意見の対立を建設的に収束させる技術

ファシリテーターの立ち位置と中立性の保ち方

また、組織開発の取り組みにおいては、**対話型組織開発(Dialogic OD)**のアプローチの中核としてファシリテーションが活用され、現場の声を尊重した変革プロセスが設計されます。

関連キーワード(類語、略語、英語表記など)

ファシリテーション(Facilitation)

ファシリテーター(Facilitator)

会議の進行 / 意見の引き出し / 合意形成 / 対話の促進

対話型組織開発(Dialogic Organization Development)

オンラインファシリテーション / ハイブリッド会議

チームビルディング / プロセスデザイン

心理的安全性 / 参加型 / 主体性の引き出し

ワークショップデザイン / 組織開発 / 合意形成スキル

マネジメントスキル / リーダーシップ研修 / 社内ファシリテーター育成

ファシリテーションは、組織の創造性と主体性を引き出し、成果を共につくり上げるための“場づくりの力”です。

現代の組織に求められるのは、単なる命令や指示ではなく、対話を通じた合意と行動を生み出す「共創型のリーダーシップ」です。ファシリテーションはそのための中核スキルとして、多くの企業が注目し、研修や制度に組み込んでいます。