ワールド・カフェ
ワールドカフェ(World Café)とは、複数の小グループによる自由で創造的な対話を通じて、参加者同士の相互理解や集合知を引き出す手法です。**カフェのようなリラックスした雰囲気の中で、テーブルを囲んだ少人数のグループがテーマに沿って対話を行い、一定時間ごとにテーブルメンバーをシャッフルすることで、組織全体での意見の循環と共通理解を促進します。
このワールドカフェは、1995年にアメリカのフアン・カルドナとアニータ・ブラウンによって提唱され、今や世界中の企業、自治体、教育機関などで活用される汎用性の高いファシリテーション技法となっています。
実務上の重要性や活用場面
ワールドカフェは、**一方向的な情報伝達ではなく、参加者全員が主体的に関わる「対話の場」をつくることで、多様な視点や潜在的な知見を引き出すことができる点が大きな特徴です。業務改革や新規プロジェクトのアイデア創出、組織ビジョンの共有、価値観の再定義、風通しの良い職場風土づくりなど、多様なビジネスシーンで活用されています。
特に、組織の壁を越えたコラボレーションや、従業員同士の相互理解を深める必要がある場面では、ワールドカフェのような参加型対話が有効です。トップダウン型の会議では出にくい本音や創造的アイデアが自然と引き出されるため、心理的安全性の醸成やエンゲージメント向上にもつながります。
研修や組織開発の中での位置づけや具体例
企業研修や組織開発の文脈では、ワールドカフェは対話型ワークショップやチームビルディング研修、リーダーシップ開発プログラムの中に組み込まれることが多くあります。たとえば、リーダー層が組織の未来を語り合う「ビジョン共有会」、新人研修における「職場への期待・不安の共有」、部門間連携を促す「クロスファンクショナル対話」などが代表例です。
実際の導入例としては、あるIT企業で、経営層から現場社員までを対象に「自社の理念を再定義する」対話型プロジェクトを実施。全社員を巻き込んだワールドカフェ形式のセッションを通じて、トップダウンでは到達しなかった共感や納得感のある企業理念の再構築に成功しました。
さらに、ファシリテーターの育成や対話文化の定着を支援する場として、ワールドカフェ形式の継続的実施が、組織変革の推進力として高く評価されています。
関連キーワード(類語、略語、英語表記など)
ワールドカフェ(World Café)
対話型ワークショップ/参加型ファシリテーション/グループ対話
オープン・ダイアログ/集合知/心理的安全性
ファシリテーション研修/チームビルディング/組織風土改革
イノベーション創出/エンゲージメント向上/対話の場づくり
ワールドカフェは、知識や情報の一方通行ではなく、「共に考え、共に創る」ことに価値を置いた対話のプロセスです。企業研修や組織開発の中にワールドカフェを取り入れることで、職場における信頼関係の強化やイノベーションの土壌づくりが加速されます。形式にとらわれず、誰もが安心して意見を出せる場を作ることで、組織全体の学習と変革の力を引き出す、それがワールドカフェの本質です。