率先垂範

率先垂範(そっせんすいはん)とは、リーダーや上司がまず自ら模範となる行動を実践し、周囲を導く姿勢や態度を表す言葉です。

「率先」は他に先んじて行動すること、「垂範」は模範を示して範を垂れることを意味し、両者を組み合わせたこの言葉は、特にリーダーシップやマネジメントにおいて重要な価値観とされています。部下やチームに対して、言葉だけでなく行動をもって語ることで、信頼関係を築き、組織全体の行動規範を形成していく力を持っています。

実務において、率先垂範はあらゆるマネジメントの場面で効果を発揮します。

たとえば、組織変革の初期段階では、リーダーが自ら変化に取り組む姿勢を示すことが、メンバーの納得と行動変容を促します。また、働き方改革やコンプライアンス遵守、業務改善といったテーマでも、上層部の率先垂範がなければ現場の動きは鈍くなりがちです。リーダーが口だけでなく、「背中で語る」ことが、信頼の醸成と職場風土の改善につながります。

企業研修や組織開発の分野では、率先垂範はリーダーシップ開発における中核テーマの一つです。

管理職研修やマネージャー向けの行動変容プログラムにおいては、「率先垂範の重要性」を理解し、自身の行動と発言の一貫性を点検する演習が行われます。また、心理的安全性を高める職場づくりにおいても、まずリーダーが「聴く姿勢」「謝る勇気」「変化への柔軟性」などを自ら実践することで、メンバーも安心して行動できるようになります。

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模範行動、行動によるリーダーシップ、背中で語る、信頼構築、マネジメント行動、エンゲージメント、心理的安全性、行動規範、lead by example(英語表記)

率先垂範は、組織の文化をつくるうえで欠かせないリーダーの行動原則です。制度や方針だけでは動かない組織において、「誰がどう行動するか」が最も大きなメッセージになります。企業研修や人材育成を通じて、この価値観を浸透させることは、持続可能な組織づくりに直結します。