1on1(ワンオンワン)

1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下が定期的に1対1で行う対話の機会であり、部下の成長支援や信頼関係の構築、エンゲージメント向上を目的とした重要なマネジメント手法です。一般的には週1回や隔週で15〜30分程度実施され、日々の業務の進捗確認にとどまらず、キャリア・モチベーション・心理的な不安など、多面的なテーマを対話によって扱います。1on1ミーティングは、近年注目を集める「心理的安全性」や「人材育成型マネジメント」の実践方法として、多くの企業に導入が進んでいます。

実務上の重要性や活用場面

1on1は、単なる業務指示や報告の場ではなく、部下の話を傾聴し、内省を促し、成長の支援をすることが中心となるため、部下の潜在能力を引き出す場として非常に重要です。実務では、離職防止、メンタルヘルスケア、モチベーションの維持・向上、キャリア形成支援、エンゲージメント向上など、さまざまな課題解決に活用されています。

特に若手・中堅社員の育成、リーダーシップ開発、組織文化の醸成といった観点から、1on1は中長期的な人材戦略の一環として不可欠な仕組みとなっています。また、テレワークやハイブリッドワークが進む中、物理的な距離を埋め、心理的なつながりを保つコミュニケーション手法としても注目されています。

研修や組織開発の中での位置づけや具体例

1on1ミーティングの導入・定着には、単なる仕組み化だけでなく、管理職側の「1on1スキル」の習得と内省支援力の強化が不可欠です。そのため、多くの企業では「1on1研修」や「コーチング型マネジメント研修」などを通じて、傾聴、承認、質問、フィードバックといった対話技術の習得を支援しています。

例えば、ある製造業の企業では、離職率の高止まりに悩んでいたところ、管理職に対して1on1研修を実施した結果、部下との信頼関係が深まり、離職率とメンタルヘルスの相談件数が大幅に改善しました。こうした成果から、1on1は「施策」ではなく「文化」として根づかせていくことが組織開発の鍵であるといえます。

また、組織開発の観点では、1on1で得られた現場の声や課題感を上層部が吸い上げる仕組みとすることで、組織全体の風通しや意思決定の質の向上にもつながります。

関連キーワード(類語、略語、英語表記など)

1on1ミーティング(One-on-One Meeting)

ワンオンワン/定期面談/1対1対話

傾聴/コーチング/対話型マネジメント/フィードバック

エンゲージメント向上/心理的安全性/人材育成/マネジメント研修

キャリア支援/内省支援/離職防止/チームビルディング

1on1は、マネージャーと部下の関係性の質を高めることで、組織の持続的な成長と社員一人ひとりの自律を支える最も実践的な育成施策のひとつです。企業研修や人材開発の施策において、1on1の導入・浸透は、今後ますます重要なテーマとなっていくでしょう。