EQ

EQ(Emotional Intelligence Quotient/感情知能指数)とは、自分自身や他者の感情を正確に認識・理解し、適切に表現・調整する能力を数値化した指標です。IQ(知能指数)が論理的・分析的な能力を示すのに対し、EQは感情面での知性を測るものであり、人間関係や組織内での対人スキルと深く関わっています。ビジネスやリーダーシップにおいても、EQの高さは成果や信頼関係構築に大きな影響を与える要素とされています。

近年では、変化が激しく、多様な人材が関わる現代の職場において、EQの重要性がますます高まっています。たとえば、部下の感情を読み取りながら適切に指導する、チーム内の摩擦を調整する、ストレスに強くレジリエンスを発揮する、といったスキルはすべてEQに関連する力です。特にマネジメント層にとっては、論理だけではなく感情面を含めた「人間理解」が成果を左右するため、EQは必須のリーダーシップスキルの一部といえます。

企業研修の現場では、EQ向上のためのプログラムが多く導入されており、特に「自己認識」「自己制御」「共感」「対人関係スキル」などの要素を磨く内容が中心です。たとえば、EQ診断ツールを使った自己評価や、感情の取り扱いに関するワーク、フィードバックとリフレクションを通じた内省的学習などが代表的です。また、リーダー育成やコミュニケーション研修、心理的安全性を高める組織開発の一環としても、EQは重要な土台となります。

組織開発の観点では、EQが高い人材が増えることで、対話や相互理解が進み、心理的安全性の高い職場文化が育まれます。メンバー同士が感情に配慮しながら建設的に関わることで、イノベーションや協働が促進され、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

関連キーワードには、「感情知能」「感情知性」「Emotional Intelligence(EI)」「自己認識」「共感力」「レジリエンス」「心理的安全性」「ソーシャルスキル」「非認知能力」などがあります。近年では、EQを評価・育成するためのアセスメントツール(例:EQ-i 2.0やMSCEITなど)も企業で広く活用されています。

EQは、単なる“やさしさ”ではなく、ビジネスパーソンにとって不可欠な対人スキルの中核であり、リーダーシップ開発や組織変革における重要なキーワードとして、今後も注目され続ける概念です。