日本航空株式会社様

運航訓練部訓練審査企画室
橋本様 丸山様

テーマ :パイロット訓練・育成においての「経験学習」の実践とプログラム化
対象者 :チューター(訓練教官) 主席乗務員

フライト後の
機長と副操縦士の振返り
ミーティングのやり方、雰囲気が全く変わり、
副操縦士のモチベーションを高める
成長支援ができるようになった

JALでは、2017年4月に施行された国の新たなパイロット訓練・審査制度、Competency-Based Training and Assessmentプログラムを適用し、同制度のもとで、現在世界でも採用が進んでいるEvidence-based Trainingの導入を進めてきました。

その一貫として、パイロット訓練・育成について、より効果的な新たな手法を模索しており、その解決策の一つとして、2020年度から3年計画で、チームダイナミクスとパートナーシップ契約を結びました。

計画では、訓練乗員の気づきやリフレクション、自律回転を促進する経験学習サイクルプログラムを、コーチングやNLPの手法を使って、EBTR(Evidence-based Training Recurrent)として共同開発することとしました。

今回の研修プログラムを活用し、どんな社内施策を展開したか?

3年をひとサイクルと考え、チューターたち(訓練部で機長などの教育を担当する立場の人間)が、チームダイナミクスの研修プログラム受けながら、そこから社内用の教育プログラム(EBTR)を共同開発し、社内展開していった。
今回、訓練部のチューターだけではなく、乗員部の主席乗務員(副操縦士を束ねている立場の人間)もチームダイナミクスの研修プログラムを受けたことも、新たな試みだった。

EBTRの施策を実施したことにより、個人や組織のどのような成果、嬉しい変化につながっているか?

会議や、普段の会話に、ラポール、心理的安全性、ヨコの関係、勇気づけなどの言葉が、頻繁に出てきて、それらが共通言語として、会話のベースになってきたと感じる。
しかも、実施を通じて、それらの言葉一つ一つが、しっかりと理解された上で、各々の場面に相応しい形で発せられていることが素晴らしいことだと感じる。
変化の例を具体的なことで言うと、フライトが終わった後の機長と副操縦士のディブリーフィング(振返りミーティング)のやり方、雰囲気が全く変わったとの声を聞いている。
以前は、副操縦士が、機長からできていないことを指摘される場面が散見された。施策が浸透するにつれ、できていることにフォーカスを当てたり、理想の副操縦士像や、機長像(昇格した際の)をイメージした上で、そのためにどんなことをしていったらよいかなどの(コーチング的な)アプローチにより、副操縦士のモチベーションを高める成長支援ができるようになった。

チームダイナミクスの研修を直接受けたチューターや主席乗務員には、
どのような成果、嬉しい変化につながっているか?

チューター、教官というのは、実際にEBTRを社内展開する立場にあり、内部講師としての成長も必要。チームダイナミクスの研修プログラムで、教官自身も内面的なこと、ストレスコントロールであるとか、感情のコントロール、EQの向上、習慣力など、マインドの成長を図ることができ、非常に役に立ったという声が多く上がっている。
主席乗務員は、複数の副操縦士を中長期的に指導する立場にあるので、今回の学びが今までとは違う、気づきやリフレクションを促進する成長支援につながり、成果を生み出していることを実感している。
また、これまで、訓練部と乗員部の訓練手法が異なっていたことが課題の一つだったが、今回の試みにより、双方が共通した効果的な手法で訓練が動き出したことがとても大きなことだと捉えている。

成果を残すことができた要因はなにか?

これまでは、訓練部の少人数で全訓練、全教育をやってきたが、今回チームダイナミクスの研修プログラムに参加した各部からの選抜メンバー全員が、同じ高い水準で、社内訓練・教育プログラムを展開できるようになったことが大きい。
チームダイナミクスの研修プログラムが、参加型で、全員で作っていくものであったので、参加者の情熱や理解のレベルを高めてもらえたし、研修中を通じて高いレベルを維持することができた。そのため、参加者が行動の習慣化を熱心に進めることができ、コンピテンシーとして定着させることができたと思える。
研修プログラムで得た考え方やコミュニケーションを実践することによる、自分自身と訓練乗員の変化、成長の成功体験に基づく自信を積み重ね、それがさらなるモチベーション、熱意となり、実践を繰り返すこと、つまり習慣化が進んだと感じる。

チームダイナミクスの研修プログラムのどんな点が良かったか?

いろいろと調べたり、実際に外部研修を受けにいったりしても、なかなかしっくりくるものがなかった中で、チームダイナミクスは、訓練・教育の手法を改革していくという我々のニーズに合った考え方、手法を持っていた。
それまで見たものとはおよそ比べものにならないくらい、我々が今必要としているもの、今後必要となるであろうと思われるものを満たしてくれるという実感があった。
例えば、それまで機長と副操縦士に、タテの関係が強い傾向があることでうまくいかなかったことに対し、具体的にどのようにヨコの関係にしていくと、どのようにうまくいくのかというようなことが、納得いく、心に響くものとして伝わってきた。
それが、各参加者の実践につながっていったのだと思う。非常に理解しやすく、実践したくなるようなものだった。

また、研修中に講師の方が話される具体例が、非常にフィットするものであったのに加えて、「こういう場合はどうしたらよいか?」という問いや疑問に答えてくれる、我々が訓練生や訓練教官に対して教育をしている中で、具体的に使える効果的な手法をたくさん授けていただいた。

また、参加者からの質問が活発に出る中で、いつも的確な質疑応答をされることも印象的だった。

チームダイナミクスと共に進めた研修プログラムでの経験を一言で言うと?

「教育を学んだ中で、自分が高められた」
研修プログラムを通じて自己成長が促進されたと感じる。

「共感、共感的理解」
みなさんの話、講師の先生の話を、共感と共感的理解を持ちながら聴くことができた。非常に貴重な時間だった。